こんにちはかおるです。相場にはいろいろな格言がありますけど、その中でもすごく有名なのがセルインメイじゃないでしょうか?投資をしたことがある人ならほとんど知っている「5月に売れ」というこのアノマリーは、なんで言われるようになったのか、そして本当に正しいのか、検証していきたいと思います。
セルインメイの意味と続き
セルインメイは意味としては「5月以降に株式市場が軟調になりやすいから、売っといたほうがいいよ」って感じですよね。ただ実はこの言葉には続きがあります。
Sell in May, and go away; don’t come back until St Leger day.
っていうのが長い文章バージョンの格言になります。セントレジャーデーっていうのは9月の第2土曜日にイギリスで開催される有名な競馬レースの日のことを指しているので、日本語に訳すと「5月に売ってどっか行け、9月の第2土曜日まで戻ってくるな」っていう意味になります。意外と全文は知らなかった人もいるんじゃないでしょうか。
ちなみにアメリカではセントレジャーデーではなく、ハロウィンって言うこともあるみたいです。まあハロウィン以降に株価が上昇しやすい、ハロウィン効果っていうアノマリーもあるので、それと同じことでしょうね。
ざっくり5月から9月・10月くらいまでは下落しやすいよって感じですけど、確かにリーマンショックの始まりは9月でしたし、チャイナショックは8月でしたし、夏場は少し下がりやすいイメージはありますよね。
セルインメイが起こる理由
ではこのアノマリーは何が原因で起こるのか、いくつか理由が考えられるので、軽く紹介していきます。
1つ目、ヘッジファンドの決算が6月に行われることが多いから。
アメリカのヘッジファンドでは6月と12月に決算を行うことが多くて、その前の月は持ち株を売って精算するから株価が下落するって言われています。
2つ目、アメリカの税制度の影響。
アメリカでは税金の還付が2月から5月くらいまで行われていて、その間は戻ったお金で投資をするから相場が上昇しやすいっていういう理論ですね。
3つ目、年末の上昇相場で信用取引が増えるから。
年末は株価が上昇することが多いので、信用取引の買い残が増えるんですけど、その場合、半年以内に決済する必要があるので、12月に信用買いした株の決済が期限が近くなった5月、6月に急増して株価が下がるっていう説です。
4つ目、夏休みがあるから。
海外では1か月以上休むこともある夏季休暇で、市場参加者が少なくなって、株価が下落するっていう考え方です。
5つ目、投資家がセルインメイを意識するから。
すべてのアノマリーがそうなんですけど、やっぱりこういう格言があると、ちょっと株価が下がっただけでも「あ、セルインメイが来るかもしれないな、ちょっとポジション減らしとこう」みたいになって、結果的に格言通りの値動きをしてしまうっていうのはあると思うんですよね。特にセルインメイはめちゃめちゃ有名なアノマリーで、ほぼすべての投資家の頭の中にあるから、余計に起こりやすいといえます。
とまあ、理由は他にもいろいろと言われていますけど、私としてはやっぱりアノマリーの存在自体が、投資家心理に働きかけているのが一番大きいんじゃないかなと思います。では次にセルインメイは本当に正しいのか、過去の値動きから検証していきましょう。
セルインメイを検証
セルインメイは5月に売って、ハロウィンの日、10月31日に戻ってこいってことなので、まずは前年の11月初めに買った株を5月末に売却した場合でバックテストをしてみます。アノマリーが正しいならこの期間のリターンは高いことになりますね。今回の検証はアメリカのS&P500と日経平均株価で行っているので、まずはS&P500から見てみましょう。
期間は2000年から2019年までの20年分で、各年の騰落率をグラフで視覚化しています。単純にリターンがプラスの月を勝ち、マイナスの月を負けとするなら、17勝3敗の超好成績ですね。プロ野球のピッチャーだったら最多勝にくわえて、沢村賞も狙えるくらいの成績です。
ただチャートを見ると分かる通り、20年間でS&P500はそもそも上昇しているので、勝ちが多いのは当然ですよね。じゃあこの成績がどれくらい良いかっていうのを比較するために、同じS&P500を6月初めに買って、10月末に売却した場合っていう、真逆の取引をしたときの、各年の騰落率のグラフも見てみましょう。
14勝6敗です。最多勝は狙えるかもしれないけど、沢村賞はちょっと難しくなってくるかもしれないですね。さっきも言ったとおり、アメリカの株価はこの期間で2倍くらいまで上昇してるので、6月から10月で切り取ってもまったく悪い成績ではないですよね。
2001年、2002年のITバブルのときと、2008年のリーマンショックのマイナスが大きくて目立っちゃってますけど、10%前後のプラスリターンがちょこちょこあって、マイナス分をカバーできている感じです。
ただ、秋から春にかけて保有していた場合と比較しちゃうと、わりとはっきり成績が劣っているのがわかります。まあそもそもこの期間の切り取り方が、11月から5月の7ヶ月間と、6月から10月の5ヶ月間で比べているので、当然投資期間が長いほうがリターンも高くなりやすいとは思うんですけど、その分を差し引いてもセルインメイの傾向はしっかり出ているんじゃないかなと私は感じました。
といっても、セルインメイは元々欧米のアノマリーなので、ある意味S&P500で当てはまるのは当然ですよね。ということで次は日経平均で同じ検証を行ってみましょう。11月初めに買った株を5月末に売却した場合の年別リターンです。
12勝8敗でまずまずの成績です。日銀の金融緩和とアベノミクス相場で、2013年がずば抜けてリターンが高いですけど、他でも結構リターンが高くて、トータル的にもしっかりプラスになっています。
S&P500と比べるとイマイチな成績に見えるかもしれないですけど、そもそもこの20年間における指数の上げ幅がまったく違うのでそれは仕方ないかなっていう感じです。では次に、6月初めに買って、10月末に売却した場合を見てみます。
10勝10敗でギリギリ二桁勝利って感じですね。ただITバブルの時期とリーマンショックのマイナスが大きいのでトータルではマイナスになっている感じです。
これを見た感じ、結構セルインメイのアノマリーは日本株でも十分通用するような気がしますね。まあ日本語でも夏枯れ相場っていう言葉がありますし、わりとグローバルに株価が連動するようになっているので、当然といえば当然なんですけど、結構はっきりと差が出たなと感じました。
この結果を見たからと言って、実際に売買を繰り返しちゃうと、ガチホする場合より、税金の分の損失が発生するし、そもそも夏場も成績が劣るけどマイナスになるとは限らないので、結局長期投資の場合はストロングホールドが正解だとは思います。
ただスポット的な買付とか、スイングトレードくらいの短期売買の場合とかは、このアノマリーはひとつの参考になるんじゃないかなと、今回の検証で思いました。
以上、「セルインメイって何?5月以降に株価が下落する理由と検証!」でした。
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